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1年後の学業成績は学力以外の行動特性で予測可能、東京医科歯科大学が分析

2023/02/22

 東京医科歯科大学は、医学部医学科カリキュラム管理運営の一環として、Institution for a Global Society株式会社の協力のもと、学生を対象にBIG5(気質診断)とコンピテンシー(高い成果につながる行動特性)の計測・分析を実施。その結果、大学2年生以上は、コンピテンシーのスコアから1年後の学業成績の予測ができる可能性が示唆された。

 対象者は同大学医学部医学科第1学年(93名)、2学年(76名)、5学年(81名)で、2019年から2020年にかけてGROW360でコンピテンシーとBIG5を計測した。コンピテンシーとは組織で成功している人材の思考・行動から導き出される共通の行動特性(思考パターンや行動パターン)、BIG5※は潜在的な性格「気質」のことで、これらを可視化するAI評価ツールがGROW360と呼ばれる。

 その結果、1年前に計測したコンピテンシーのスコアから、学業成績の予測ができる可能性が示唆された。特に、2学年時の成績は、約1年前に測定したコンピテンシーの誠実さ、感情コントロール、解決意向の他者評価スコアでの予測が、また、5学年時の成績は、誠実さ、疑う力、成長での予測がある程度可能としている。以上から、誠実さなどのコンピテンシーが低い大学生に、コンピテンシーが向上する支援を行うことで、成績向上の可能性を期待することができるとしている。

 大学生の成績予測モデルにより、大学は学生一人一人をケアすることが難しい中で、必要な学生を見つけて早期から支援することができ、より多くの学生の成績を伸ばしやすくすることができる可能性がある。今後は、得られた所見の普遍性につき、研究活動として分析していく予定としている。

※繊細性・外向性・開放性・協調性・自律性の5つの要素の程度の組み合わせで表される各個人の性格

参考:【東京医科歯科大学】「1年後の成績は、学力以外の思考・行動パターンで予測可能」示唆

大学ジャーナルオンライン https://univ-journal.jp/211442/

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